パワーベースボール



パワーベースボールとは?
 1984年頃エポック社から発売された、2人対戦型のシミュレーション野球ゲーム(絶版)
(注:パソコンゲームではない)でして、翌年にはエクスパンションキットも発売されました。
 ゲームデザインはレックカンパニーの黒田幸弘氏(天下統一というパソコンゲームのデザイン
で有名)、オリジナル・アイデアは同じくレックカンパニーの鈴木銀一郎氏(モンスターメーカー
というカードゲームで有名)でした。

どんなゲーム?
 基本的には1人が1チームを担当します。ゲームはプレイヤー2人により行いますが、
審判役やスコアラーをプレイヤー以外が担当することもあります。
 2人の対戦者はチームの監督であり、チームに所属する個々の選手でもあります。

 基本的なゲームの流れですが、守備側プレイヤーが投球カード(例えば“内角カーブ”)を
選択し、攻撃側プレイヤーも打撃カード(例えば“カーブ狙い”、“内角球狙い”)を選択し
ます。お互いの選択カードは相手に見せません。
 選択カードが球種で一致していたり、コースで一致している場合、(実際にはもっと多くの
ルールがありますが…)あらかじめ個々の選手ごとに決めている打者の打撃力(直球、カーブ、
シュート、スライダーで別個に設定)と、投手の球威(設定値にサイの目のランダム要素を
加える)との差を算出し、その差とサイの目により打撃結果を判定します。
 その他にも打者のパワーや走塁能力が関係する長打判定、打者のタイプが関係する打球
コース判定、打球コースの選手の守備力が関係する捕球チェック、クロスプレーのアウトセーフ
チェックなど、様々な判定を経て試合を進めていくわけです。

 そしてこの試合を繰り返してペナントレースを消化していき、そのシーズンの優勝チームを
決定します。(複数リーグの優勝チームで総合優勝を争うことも有ります。)

その面白さと中毒性
駈引きの面白さ
 互いのプレイヤーの心理合戦、腹の探り合いです。うまく引っかけてやったときの爽快さと
逆にひっかかったとくに悔しさは、ゲームに入れ込むほどに増していきます。

選手起用の面白さ
 事前に相手のチームを分析し、最適と思われるオーダーで試合開始できます。
 試合途中での選手交代も基本的に自由に行えます。
 もちろん、プレイヤーが望むならば、不動のオーダー、不動のローテーションも可能
でしょう。

選手を命名する面白さ
 プレイヤーは選手の名付け親でもあります。例えば、三国志の武将の名前を付けたり、
漫画家の名前を付けたり、ロボット(モビルスーツ)や怪獣の名前を付けることさえもOKです。
これは実際にあった話です。(笑)

選手を育成する面白さ
 入団時は欠点だらけの選手もキャンプで鍛え上げていけば大化けすることもあります。
手塩にかけた選手が活躍するのは、とてもうれしいですね。選手に対する入れ込みにも
凄まじいものがあります。
 前述の命名と合わせて、RPG要素を盛り込んだゲームといえましょう。
 これが最大の面白さと言えるかもしれません。

チームカラーを出す面白さ
 プレイヤーは、ドラフト,トレード,キャンプでの選手育成,選手の起用方法などで、
自分の信念こだわりといったものをチームカラーとして前面に出すことができます。
 この辺は、恐らく現実のプロ野球以上でしょう。

問題点
 とてもハマるゲームだったパワーベースボールですが、仲間内で数シーズンプレイを重ねて
いくと、いろいろと問題に思える点も出てきました。 代表的な問題点は次のようなものです。

守備力のインフレ
 このゲームで選手の守備力は、S,A,Ax,B,Bx,…という形式(Sが最上位)でランク付け
されており、例えば守備力BだとAレベルの打球は取れないが、B以下の打球はアウトにできる
といったルールでした。
 ゲームデザイン上、Aレベルの打球は通常ヒット性のあたりのはずなのですが、選手の守備
力強化が有利であると判ると、各チームともまず守備力を限界まで引き上げることを目指すよ
うになりました。
 内野手・外野手はA/Axは当たり前、Sランクもチームに数名、中にはSより上のレベルを
目指して練習している選手もいたほどでした。
 その結果、ヒットの積み重ねで得点を競い合うより、長距離砲をずらりとならべ、ホームラン
による最小得点差を守り切るといった、大味なゲームになりがちでした。
 守備力Sランクの選手は、打球レベルすらないクリーンヒットの打球に対しても、スーパーキ
ャッチとして5%アウトできるのですが、Sランクの選手が増えたため、レフト前ヒットの打球を
サード,ショート,レフトの3名がそれぞれチェックするというケースすらありました。
 1試合の平均得点は2点ぐらいだったでしょうか…。(寒いねぇ)

金太郎飴の選手
 このゲームではプレイヤーが選手の育成項目を自由に指定できるため、ある程度選手育成
定石のようなものが出来上がると、同じようなタイプの選手が増え、没個性化してきました。
 打者ですと、打撃力に穴がある選手はその弱点ばかりを攻められますので、長所も短所も
目立たない打撃力の打者が増えました。投手ですと、基本4球種(速球,カーブ,シュート,
スライダー)を自在に投げ分けて、打者の読みをはずしやすく、また弱点をつける投手が増え
ました。
 やはり、同じような選手ばかりじゃ面白くないですよね。

ルール改正
 上記の問題点について仲間内で協議した結果、ルールの改正が行われました。

キャンプルール改正
 キャンプでの選手能力のアップについて、高いレベルを目指すほど、練習回数が増えるよう
に調整しました。特に守備練習に関しては、成功率そのものを1ランク難しくした上で、旧ルー
ルでは一律5回練習に成功するとレベルアップしていたのをBレベルなら6回、Axレベルなら9
回、Aレベルなら12回…とし、守備重視の傾向を是正しました。

練習項目のランダム選択
 選手の没個性化を避けるため、特訓コンディショニング後の練習を除き、練習項目はサイ
の目でランダムに決定するようにしました。

投手のタイプ分け
 投手について没個性化を避けるため、投手を超速球派,速球派,中間派,制球派,超制球
に区分けしました。
 速球派は練習で球威上昇しやすく、制球派は新球種の習得,コントロールの上昇,特殊変
化球(フォーク,チェンジアップ,シンカー,ナックル)の球威上昇で有利となるようにしました。
 余談ですが、超速球派の助っ人投手で、速球球威84コントロール4,カーブ球威57コントロ
ール4,つり球(これもルール改正)球威15という化け物投手が出来てしまいました。(イ○オ
ンと命名されました。(笑))

その他
 強烈すぎる特殊能力「ラッキーボーイ」是正の為、ラッキーボーイ発動チェックを設けました。
(1/2の確率で能力適用)
 進塁関係のチャートを打者有利に改正し、得点力がアップするようにしました。
 送りバントは、バント能力値の+1まで成功するように変更。但し球威との差によりアウトセ
ーフのチェックで修正が入るようにしました。
 投手は「コントロール修正」を宣言することで、球威−1,コントロール+1となるようにしま
した。
 その他にも、「負傷チャート改正」,「あて馬ルール」,「牽制球の制限」,「球威チャート変更」
等のルール改正があった<と記憶しています。

新たなる課題と状況の変化
 ルール改正後に新リーグを結成し数シーズン戦っていく間に、更なる問題点も浮き上がって
きました。

 例えば、実際のプロ野球では速球派が空振り三振を多く奪えるのに対し、パワーベースボー
ルでは、速球派は球威で詰まらせるピッチングが主体になります。
 むしろ、通常4球種のコンビネーションで打者の読みをはずして、見送り三振を奪っていく
方が効率的で、この点が現実のプロ野球と大きく異なるところとなっています。

 また、ルール自体の問題ではないのですが、ゲーム発売当時学生だったメンバーも社会人
となって暇がもてなくなったり、引越しなどでリーグ自体の維持も困難となってゆきました。
 現在は新ルールを模索しつつ、こうしてホームページにて草の根の交流ができないものかと
考えていたわけなのですが、ここで大きく状況が変わる事態が発生しました!
 なんとコナミさんより、「パワーベースボール」を元にしたプレイステーションゲーム
発売されるようです。
 さて、これからどうなるのでしょうねぇ。(笑)

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